連載小説サラ金対新人OL
(注)この小説はフィクションであり、現実の人物、団体、法人には一切かかわりがありません。
第4回 大道寺
大道寺と直子、それから自動車の運転を担当する渡辺の3人は四菱ファイナンスの社用車に乗り、小一時間ほど一緒に移動した。
「あの、大道寺さん、わたし、ついさっき研修を命じられたばっかりなんで、四菱ファイナンスについて、まだ何もしらないんですけど、四菱ファイナンスの、お仕事の内容というのは…」
むろん、直子は四菱ファイナンスの業務内容程度は、昼休みの間に調べて把握していたが、この気難しそうな大道寺という先輩とのコミュニケーションをはかるためには、仕事の基礎的な情報を教えてもらうというあたりからはじめるのが最善だと考えたのである
「仕事?金貸し」
大道寺の返答には親切さのかけらも感じられない。
(なにか嫌われるようなこと、したかしら)
と直子は考えてみたが、思い当たるようなことは、まったくない。それに、大道寺の返答は、直子の問いに対する最小限度の回答にはなっている。
「あの、すいません、せんぱい、債権回収に行く、というふうに、おうかがいしているんですけど、なんで債権回収に行かれるんですか?」
「返さんけん」
また、断片的な回答である。
(でも、たしかに、そのとおりだわ。貸したお金を返していただけないから債権回収に行くのよね。質問する方が、どうかしてるわ)
直子は、率直に反省した。直子の、やや間の抜けた質問に対しても返答をしてくれるのだから…
(言葉は短くて、ぶっきらぼうだけど、意外と、いい人なのかも?)
そう思うと、この、見てくれは暴力的な大道寺という先輩に興味がわいてきた。
「あの、大道寺先輩、先輩の、ご趣味とかは、なんですか?」
(こういう外見の方って、意外と、さみしがりやで、飼い犬の散歩が趣味だったりして…)
直子が、ちょっと微笑みながら、そういうシーンを想像していたところ、
「趣味?フーゾク」
「……」
(なにかを期待した、あたしがバカだった…)
直子は、大道寺から顔をそむけて、自動車の外に視線をやった。
「行きたいんか」
「…いえ、けっこうです」
ファンタジーのような展開を期待した自分の甘さを恥じ入るのみであった。
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