連載小説サラ金対新人OL
(注)この小説はフィクションであり、現実の人物、団体、法人には一切かかわりがありません。
第六回 手紙
一時間ほど家探しして、直子は何通かの手紙を発見した。ビニールテープによってであるが、封がされていたので、大道寺の判断をあおぐ。
「どれ?」
大道寺は、そのうちの一通の手紙を手にとって、なんのためらいもなく、ビニールテープを、ビリッと剥ぎ取り、ざっと手紙の内容を読み取った。
「ふん、オーケイ。おれらの仕事は目的達成や。帰るで」
大道寺は、一読して手紙を直子に返すと、ぷいっと、背を向けて、一人で玄関に歩きだした。
直子は、あっけにとられた。まだ、村本社長の行方につながるようなものは発見していないと思うのだが…。それとも、手紙に、村本社長についての、なにか決定的なことが書かれていたのだろうか。
「佐藤君、今日見つけたカミ、とりあえず、あんた持っといてえや」
「え、あっ、はい。でも…」
直子は、どうしたらよいのか分からず、ちょっと、おろおろっとしていたが、大道寺が、そう言う以上、あわてて手紙類をハンドバッグに差し込み、小走りであとにつづく。
3人は、競うかのように自動車にたどりついた。
「渡辺、会社に帰ったら、警察に連絡しといてや。公衆電話つこうて」
大道寺が口を開いたのは、自動車が動き出してからだった。
「事故係の方ですか」
渡辺は、運転する手を休めず、振り返ることもなく、確認する。
「おう」
大道寺は、自動車の外の景色を見ながら応じる。
(事故?警察?)
今日、私たちは、現実には居住者がいなかったとはいえ、住居侵入をしてきたばっかりだ。警察には、あんまり接触したくないように思うのだけど…
公衆電話を使う、というのは、こちらの身元を知らせたくない、ということだと思う。それは分かったのだが…
直子の頭の中では、いろんなハテナが出てきて、混乱してしまう。
ことの展開についていけず、会話にもついていけず、居心地の悪い思いであった。
(そうだ、さっきの手紙は、あたしが持ってるんだ)
それに思い至り、数通の手紙のうち、大道寺が封を開けた一通を、バッグから取り出して、さっと読んだ。
ことの急展開は、この手紙の発見から始まっているのだから、よく読めば、この手紙から、今の事態へのヒントが出てくるはずだ。
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