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◎特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律


(平成11年12月17日・法律第158号)
施行、平12・2・17
改正、平15-法128
第1条(目的)
この法律は、支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため、民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)の特例として特定調停の手続を定めることにより、このような債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を促進することを目的とする。

第2条(定義)
この法律において「特定債務者」とは、金銭債務を負っている者であって、支払不能に陥るおそれのあるもの若しくは事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難であるもの又は債務超過に陥るおそれのある法人をいう。
2 この法律において「特定債務等の調整」とは、特定債務者及びこれに対して金銭債権を有する者その他の利害関係人の間における金銭債務の内容の変更、担保関係の変更その他の金銭債務に係る利害関係の調整であって、当該特定債務者の経済的再生に資するためのものをいう。
3 この法律において「特定調停」とは、特定債務者が民事調停法第二条の規定により申し立てる特定債務等の調整に係る調停であって、当該調停の申立ての際に次条第一項の規定により特定調停手続により調停を行うことを求める旨の申述があったものをいう。
4 この法律において「関係権利者」とは、特定債務者に対して財産上の請求権を有する者及び特定債務者の財産の上に担保権を有する者をいう。

第3条(特定調停手続)
特定債務者は、特定債務等の調整に係る調停の申立てをするときは、特定調停手続により調停を行うことを求めることができる。
2 特定調停手続により調停を行うことを求める旨の申述は、調停の申立ての際にしなければならない。
3 前項の申述をする申立人は、申立てと同時に(やむを得ない理由がある場合にあっては、申立ての後遅滞なく)、財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料及び関係権利者の一覧表を提出しなければならない。

第4条(移送等)
裁判所は、民事調停法第四条第一項ただし書の規定にかかわらず、その管轄に属しない特定調停に係る事件について申立てを受けた場合において、事件を処理するために適当であると認めるときは、土地管轄の規定にかかわらず、事件を他の管轄裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。

第5条
簡易裁判所は、特定調停に係る事件がその管轄に属する場合においても、事件を処理するために相当であると認めるときは、申立てにより又は職権で、事件をその所在地を管轄する地方裁判所に移送することができる。

第6条(併合)
同一の申立人に係る複数の特定調停に係る事件が同一の裁判所に各別に係属するときは、これらの事件に係る調停手続は、できる限り、併合して行わなければならない。

第7条(民事執行手続の停止)
特定調停に係る事件の係属する裁判所は、事件を特定調停によって解決することが相当であると認める場合において、特定調停の成立を不能にし若しくは著しく困難にするおそれがあるとき、又は特定調停の円滑な進行を妨げるおそれがあるときは、申立てにより、特定調停が終了するまでの間、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特定調停の目的となった権利に関する民事執行の手続の停止を命ずることができる。ただし、給料、賃金、賞与、退職手当及び退職年金並びにこれらの性質を有する給与に係る債権に基づく民事執行の手続については、この限りでない。
2 前項の裁判所は、同項の規定により民事執行の手続の停止を命じた場合において、必要があると認めるときは、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、その続行を命ずることができる。
3 前二項の申立てをするには、その理由を疎明しなければならない。
4 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、第一項及び第二項の担保について準用する。

第8条(民事調停委員の指定)
裁判所は、特定調停を行う調停委員会を組織する民事調停委員として、事案の性質に応じて必要な法律、税務、金融、企業の財務、資産の評価等に関する専門的な知識経験を有する者を指定するものとする。

第9条(関係権利者の参加)
特定調停の結果について利害関係を有する関係権利者が特定調停手続に参加する場合には、民事調停法第十一条第一項の規定にかかわらず、調停委員会の許可を受けることを要しない。

第10条(当事者の責務)
特定調停においては、当事者は、調停委員会に対し、債権又は債務の発生原因及び内容、弁済等による債権又は債務の内容の変更及び担保関係の変更等に関する事実を明らかにしなければならない。

第11条(特定調停をしない場合)
特定調停においては、調停委員会は、民事調停法第十三条に規定する場合のほか、申立人が特定債務者であるとは認められないとき、又は事件が性質上特定調停をするのに適当でないと認めるときは、特定調停をしないものとして、事件を終了させることができる。

第12条(文書等の提出)
調停委員会は、特定調停のために特に必要があると認めるときは、当事者又は参加人に対し、事件に関係のある文書又は物件の提出を求めることができる。

第13条(職権調査)
調停委員会は、特定調停を行うに当たり、職権で、事実の調査及び必要であると認める証拠調べをすることができる。

第14条(官庁等からの意見聴取)
調停委員会は、特定調停のために必要があると認めるときは、官庁、公署その他適当であると認める者に対し、意見を求めることができる。
2 調停委員会は、法人の申立てに係る事件について特定調停をしようとするときは、当該申立人の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、当該申立人の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合がないときは当該申立人の使用人その他の従業者の過半数を代表する者の意見を求めるものとする。

第15条(調停委員会が提示する調停条項案)
調停委員会が特定調停に係る事件の当事者に対し調停条項案を提示する場合には、当該調停条項案は、特定債務者の経済的再生に資するとの観点から、公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものでなければならない。

第16条(調停条項案の書面による受諾)
特定調停に係る事件の当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において、その当事者があらかじめ調停委員会から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が期日に出頭してその調停条項案を受諾したときは、特定調停において当事者間に合意が成立したものとみなす。

第17条(調停委員会が定める調停条項)
特定調停においては、調停委員会は、当事者の共同の申立てがあるときは、事件の解決のために適当な調停条項を定めることができる。
2 前項の調停条項は、特定債務者の経済的再生に資するとの観点から、公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものでなければならない。
3 第一項の申立ては、書面でしなければならない。この場合においては、その書面に同項の調停条項に服する旨を記載しなければならない。
4 第一項の規定による調停条項の定めは、期日における告知その他相当と認める方法による告知によってする。
5 当事者は、前項の告知前に限り、第一項の申立てを取り下げることができる。この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。
6 第四項の告知が当事者双方にされたときは、特定調停において当事者間に合意が成立したものとみなす。

第18条(特定調停の不成立)
特定調停においては、調停委員会は、民事調停法第十四条の規定にかかわらず、特定債務者の経済的再生に資するとの観点から、当事者間に公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容の合意が成立する見込みがない場合又は成立した合意が公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものであるとは認められない場合において、裁判所が同法第十七条の決定をしないときは、特定調停が成立しないものとして、事件を終了させることができる。
2 民事調停法第十九条の規定は、前項の規定により事件が終了した場合について準用する。

第19条(裁判官の特定調停への準用)
第九条から前条までの規定は、裁判官だけで特定調停を行う場合について準用する。

第20条(特定調停に代わる決定への準用)
第十七条第二項の規定は、特定調停に係る事件に関し裁判所がする民事調停法第十七条の決定について準用する。

第21条(即時抗告)
第四条の規定による移送の決定、第五条の規定による決定、第七条第一項及び第二項の規定による決定並びに第二十四条第一項の過料の決定に対しては、その告知を受けた日から二週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。
2 第四条の規定による移送の決定、第五条の規定による決定及び第二十四条第一項の過料の決定に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。

第22条(民事調停法との関係)
特定調停については、この法律に定めるもののほか、民事調停法の定めるところによる。

第23条(最高裁判所規則)
この法律に定めるもののほか、特定調停に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

第24条(文書等の不提出に対する制裁)
当事者又は参加人が正当な理由なく第十二条(第十九条において準用する場合を含む。)の規定による文書又は物件の提出の要求に応じないときは、裁判所は、十万円以下の過料に処する。
2 民事調停法第三十六条の規定は、前項の過料の決定について準用する。





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